
私にとって、天川村ほど語る材料が際限なく続くところは他にない。
僻地の山村で学童期を過ごしたというに、山に魅せられて40年。その原点は、大峯の山々と天川村の心なごむ人びととの出会いにあった。
山の魅力はまず疑う余地はない。日本百名山の名峰八経ヶ岳と弥山や女人禁制を守り続ける修験の聖地 山上ヶ岳は外国人も訪れたい名峰。そして渓谷美を誇る弥山川、神童子谷、ノウナシ谷は沢登りのゲレンデとして新潟の山岳会との交流登山などで足繁く通った。そしてこんな山行をより豊かに心をいやしてくれたのは、清楚で華麗なオオヤマレンゲ、こんな可憐で美しい花は他にない。
でも、今の自分にとって終局的な天川村の魅力は、それは天川村で出会った人びとの心和む優しさにある。さまざまな機会に多くの人びとと接し、原初の心を今も持ち続ける素朴さと清々しさはどれほど心地よかったことか。私にとっての天川村は、ふる郷のように心が癒される聖地である。